山羊と狐と海岸で

主に雑記、サッカー(jリーグ、マリノス、代表)、音楽、テレビ、旅行などその他趣味に関してです。

ドラマ「空とぶタイヤ」備忘録

傑作中の傑作ドラマ

池井戸潤原作の「空飛ぶタイヤ」を2009年に仲村トオル主演でドラマ化した作品。

あらすじとしては、仲村トオル演じる主人公が経営する赤松運送会社のトラックが運送中、突如タイヤが脱輪。その結果、近くにいた親子が犠牲となってしまった。トラックの販売元の大企業ホープ自動車の調査事故原因は「車両整備不良」。それにより赤松運送は世の中からもバッシングを食らい、倒産寸前まで追い込まれる。しかし、車両整備不備とされていた原因は実は整備不備ではなく、ホープ自動車の「リコール隠し」が原因だった。事故の真因を探る赤松運送は大企業を相手に過失を認めさせることはできるのか…。

リコール隠しの車両を使ってたことにより被害者を出してしまった仲村トオルと大杉漣の「赤松運送」、ホープ自動車の社員だが内部告発を図る田辺誠一と袴田吉彦、そして國村隼を中心とする隠蔽を図るホープ自動車の上層部、そして警察と様々な思惑が入り混じる究極の社会派ドラマ。

傑作中の傑作。今年見たドラマの中で1、2を争う最高に面白いドラマだった。

社会派ドラマといっても話は分かりやすく、弱い立場の人間が強い立場の者に抑圧されながらも、逆襲を図るという王道といえば王道の話だ。ただ人は誰しもこの弱者の逆襲劇が大好きである。それはきっとほとんどの人間が弱者の立場なのが大きい。例えば、世の中の会社の9割以上は中小企業だし、大企業に勤めていても、大企業の中ではほとんどの社員が弱者の立場だ。

世の中のほとんどの人が共感できる弱者の立場であるとともに、そんな立場のものが強者に一泡吹かせるというのは誰もが夢見る、わかりやすくカタルシスを感じることができることが大きいのだろう。

これはドラマだけに限らず、スポーツ界にも通ずる。サッカーでよく使われる言葉として「ジャイアントキリング」、格下が格上相手に勝利をもぎ取る、日本語で言えば大番狂わせだ。

ただジャイアントキリングは頻繁に発生しない。だからこそジャイアントキリングなのだ。大抵は叩き潰されるのが世の常なのだが、だからこそ、それが起きた際のカタルシスは何にも変えられない興奮に繋がる。

ドラマや映画では、盛り上げやすいものであるがゆえに、細部まで作り込まれていない場合、共感が薄かったり、安っぽく見えてしまい、成立しないことがよくある。今クールで言えば「super rich」がまさにそれに当てはまるドラマと言える。

例えば、スカッとジャパンみたいなチープな感じの再現ドラマを3分尺で見させられるならまだしも、「スカッとジャパン!the Movie!」みたいなので2時間ドラマにしたらどうなるかは熱湯風呂で押すな押すな言ってるダチョウ倶楽部をみるより明らかだ。だからこそ、話の作り込み方だけでなく、キャストの演技力もとても重要になってくる。その点、このドラマはそこも秀逸だった。

 

各キャストについて

以前に書いたチームバチスタシリーズでは厚生省からくる有能御役人として存分に楽しませてくれた仲村トオルが今作品ではしがない中小企業の社長。相変わらずのスタイルのよさだが、瀕死の状態でもがく姿はチームバチスタシリーズとも比較となってすごい良かった。

なんてってたって仲村トオルの怒鳴り方はいい。「ゴラァ!」「ドラァ!!」「ボラぁ!!!」みたいな全部に濁点ついてる?と思える怒鳴り方はチームバチスタの頃から変わらない魅力だ。その勢いに押されて、やり返すシーンでは「いけ!!殺っちまえ!!」と後押ししたくなる雰囲気賞があれば殿堂入りできるくらい受賞できるだろう。

そして、もう1人の主人公と言えるのがホープ自動車側の澤田悠太演じる田辺誠一である。最初は自身の待遇やリコール隠しを行なっている部署へ一泡吹かせるためだけに内部告発を試みたが、何が良いって物語が進むにつれて告発する気持ちがブレてしまうこと

これは決して悪い意味でなくて、同じ立場なら誰もがそうだろう。大企業にいて、静かにしてれば定年まで安定した収入を得られて、なに不自由なく暮らせるのなら、別に事を荒立てる必要はない。

むしろ、ちょっとした動機で深く描かれていないと、ただの内部告発絶対するマンという、ある意味それでドラマが作れそうなキャラクターが誕生してしまうので、田辺誠一の葛藤もこのドラマを深みを引き出してくれた名キャラクターだった。

ただ田辺誠一と共犯でデータ盗みなどある種、田辺誠一よりもリスクを負った、アパホテルこと袴田吉彦は結構サラッとしてたので、あいつは内部告発絶対するマンの才能がある

あと國村隼はいつもの國村隼。

そのほか脇を固めるキャストも豪華で仲村トオルの右腕である赤松運送社員役の大杉漣や若手社員の柄本佑、ホープ銀行の社員役の萩原聖人、事件を追う警察役として遠藤憲一、内部告発の共犯者役の尾野真知子、被害者家族の甲本雅裕、リコール隠しを疑惑を取材する水野美紀とドラマと思えない豪華すぎるキャストであった。

 

最後に

いやぁ本当にすばらしいドラマで、パッと思いだす感じだと今年ベスト1級の面白さだった。本当はこのブログ前に竹内涼真が主演の「テセウスの船」も面白かったのでそちらのブログを書こうとしたが、その直後に見た今作品があまりにも面白くて急遽こちらに変更したくらいだった。

1話60分の5話完結なので、結構気軽に見れるのがまたポイント。多分5話以上にするとダレそうだし、それ未満だと少し物足りなくなってしまった感もあるので、その点も絶妙な長さのように思えた。

アマゾンプライムで見れるので、これからお正月休みに入って暇を持て余しそうな方に超絶おすすめ。この調子で同じく池井戸潤原作、三上博史主演の「下町ロケット」でも見ようかな!

 

以上!!!!