国民的アニメになり損ねたアニメ
テレビを中心とするメディア媒体が以前ほどの力を出しきれていない昨今。世の中はテレビと同じようにYouTubeを見ることが多くなってきている。「いつもテレビ何見てるの?」なんて会話から「YouTubeでいつも何見てるの?どういうのをチャンネル登録しているの?」なんていう会話の切り口も普通になってきている。
そんな中、自分自身が登録しているチャンネルは「サッカー系」や「料理系」が面だが、そんな中異彩を放っているのが2002年から2009年に第一期が放送されていた「あたしンち」のチャンネルだ。主に20代中盤から30代後半くらいがリアルタイムドンピシャ世代だろう。7年間という国民的アニメに比べれば短い放送期間で絶大なる存在感?を放ったこのアニメ。ドラえもんやサザエさん、クレヨンしんちゃん、ちびまる子ちゃんなどの国民的アニメになるポテンシャルは秘めていながらも完全にその地位になり損ねた感が強い。
半魚人に限りなく近いお母さんを中心に繰り広げられる日常系アニメ。笑いあり、ほのぼのあり、涙あり、ドン引きありと人間の喜怒哀楽の全てを味わえるのが最大の魅力だ。今でも覚えているのが「あたしンチ」が放送された当時、記念すべき第1話「だから、そーじゃなくて」の回。娘、みかんがお母さんに茶色なお弁当でなくて色とりどりなお弁当を希望すると、おかずを全てミックスベジタブルでお弁当に詰めるという狂気を第一話から披露。小学生ながら「このアニメは只者でない」と感じとった。
そんな「あたしンち」。1話約7分程度、しかもAmazonビデオでほぼ全て視聴可能でとても見やすい環境下にあるので、暇つぶしにもってこい。頭を何一つ使わずにボッーと見れる最高のアニメだ。しかも大人でも楽しく見れるエピソードが多い、むしろ子供の頃より大人になってからみる方が魅力的に感じられるのがハマる理由の1つとなっている。
是非、何か日々の楽しみを求めている方におすすめ。
あたしンち、おすすめ回
初めてみる、もしくは久しぶりにあたしンちを見る人におすすめな回としてはいくつかあるが、ちょうど今YouTubeで配信されている「あたしンちファンが選び人気エピソード50」の動画がおすすめ。ただ総再生時間が7時間超というえげつない長さになっているので、その中でも特におすすめの回を選出。
①540話-541話「父の涙」
あたしンち史上屈指の感動回。テレビで結婚式の新婦の父が涙を流しているシーンを見て「お父さんは泣いたことあるのだろうか」という疑問を抱き、お母さんにお父さんの涙した日があるか問いかける。そうすると過去に一度だけ父の涙を見たことを回想する。
自分自身の父親もあたしンちのお父さんのような父親で、同じように涙を流している姿を見たことがない。父親の母親、自分にとっての父方の祖母が亡くなった時にどうだったのかは随分と昔のことなのであまり覚えていないが、もしかしたら今回の回のようだったのではないかと思わせる傑作回。
②228話「狭くなったあたしンち」
あたしンちの魅力は時たま訪れる感動回だ。先ほどの「父の涙」は屈指の涙なしでは見られない回で、今回は感度は感動でもほのぼのと心温まる感動回だ。家が狭いことを発端とする家族内のちょっとしたトラブルやみかんとユズヒコの姉弟喧嘩で話は進んでいく。それらがきっかけで逆に子供たちが大きくなったことを実感し、いつかはまた広くなるであろう家が、一時的に狭くなっていることに幸せを感じる回。
これも誰もが経験していることだろう。自分自身や兄弟が大きくなるにつれて家や部屋が狭くなっていくことに不満を抱いたことがあるはずだ。それが今では実家は使っていない部屋が多くなってくる。いつか自分に子供が生まれたときはあたしンちのお母さんとお父さんに思える思える日が来るかもしれない。
③1話「だからそーじゃなくてっ」
伝説はここから始まった。他にもあたしンちのおすすめ回はあるかもしれない。しかし伝説が始まった第一話は見る他ないだろう。上記にも述べたように小学生ながら衝撃を受けた見ックスベジタブルの回は教養としてみるべき。
かのドラクエの名文句である「そして伝説へ…」は実はあたしンちで使う予定だったとか違うとか。まだこの頃はお母さんの声が完成されていなかったり、画面全体に余白が多かったりと荒削りなあたしンちが堪能できる初期の作品なのも新鮮なポイントだ。
これ見ずにあたしンちを語るのはイタリア料理好きと言っときながらパスタ食べたことがないだとかディズニー好きと言ってミッキーを知らないと同レベル。
最後に
個人的には歴代最高のアニメと思っている「あたしンち」。Amazon Videoで全て見るのをおすすめするが、そこまでの根気がない方にはまずは「あたしンち」のYouTubeチャンネル登録をおすすめ。不定期に2話くらいを配信してくれるため、より気軽に見れるようになっている。
そしてあたしンちで語らずに終われないのがオープニング曲であったキンモクセイの「さらば」。
音楽としても最高なのはもちろん、映像も志向で、主要キャラのみに色がついてると思いきや、同じ映像で今度は全くアニメに関係ないキャラに色がついて強調されている。これは!それぞれがそれぞれの!!あたしンちの!!!ストーリーがあるということを言いたいに違いない!!!!最高!!結婚式の退場曲にした妻のセンスに脱帽!!!!!
それでは、、、、さらば!!!!!!!